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不当な遺言・遺産分割に対する遺留分減殺請求の流れと具体例

遺留分減殺請求具体例のイメージ 

不当な遺言・遺産分割に対する遺留分減殺請求を具体例から学ぶ

 

1 遺留分とは

 

亡くなった人が遺言を残していた場合、その遺言に指定された内容によって相続人の相続分は定まるのが原則です。遺言は故人が最終的な意思を遺したものですから、その遺志はなるべく尊重される必要があります。

 

しかし、遺言の内容によっては、相続人が故人から相続できるものと考えていた期待を著しく侵害する場合があります。もちろん故人の遺志は尊重されるべきですが、相続人の相続に対する期待もある程度保護する必要があります。そこで、この相続人の期待権を保護するために、相続人に最低限認められた相続分を遺留分と言います。

 

ここでは設例を使ってこの遺留分について説明することにしましょう。

 

<設例>

Xさんは妻Yさんを早くに亡くし、Yさんとの間に、Aさん、Bさん、Cさんの3人の息子がいました。Xさんは平成28年4月1日に病気のため亡くなりましたが、死後Xさんが自分で書いた遺言書が見つかり、その遺言書には、Xさんの全ての遺産を最もかわいがっていた末っ子のCさんに相続させるとの記載がありました。

 

AさんがXさんの遺産を相続するにはどうしたらよいでしょうか。

 

この場合、被相続人Xさんの残した遺言は、全ての遺産をCさんに相続させるとしていますから、遺言どおりならAさんはXさんの遺産を何も相続できません。

 

しかし、Aさんには先に述べた遺留分の権利があります。

 

遺留分は、被相続人の配偶者・子・直系尊属(親、祖父母など)に認められる権利です(兄弟姉妹は遺留分を有しません)。AさんはXさんの子ですから、遺留分を有しています(Bさんも同様です)。

 

次に、遺留分としてAさんに認められる権利がどれだけあるかですが、それぞれの相続人の遺留分は次のように定まります。

 

誰が相続人か? 遺留分の割合
1 直系尊属(親・祖父母など)のみが相続人の場合 遺産の1/3×法定相続分の割合
2 その他の場合 遺産の1/2×法定相続分の割合

 

これを設例に当てはめてみると、AさんはXさんの子ですから表の2に当てはめることになります。XさんにはABC3人の子があり、ABCの法定相続分はそれぞれ1/3ずつになりますから、Aさんの遺留分の割合は次のように計算できます。

 

1/2×1/3=1/6(Aさんの遺留分)

 

つまり、AさんはXさんの遺産の1/6について、遺留分として、最低限相続できる権利があることになります。

 

2 遺留分減殺請求の具体的な方法

 

このように、Aさんには遺産の1/6の遺留分があるわけですが、Aさんがこの権利を主張するにはどのようにしたらよいのでしょうか?

 

(1) 自己の遺留分の把握

 

Aさんとしては、上の述べた自分の遺留分がどれくらいあって、今後どのような手続をすればよいのかをきちんと把握しておく必要があります。

 

そこで、まずは弁護士による法律相談を受けて、このことについてアドバイスを受けることになります。当エクレシア法律事務所は、無料で法律相談を受けられる弁護士事務所です。一度法律相談を受けてみる必要があります。

 

(2) 遺留分減殺請求及び協議

 

自分の遺留分について把握したら、実際にCさんに対して遺留分を請求する手続をすることになります。Cさんに対して遺留分の権利を主張することを、遺留分減殺請求(いりゅうぶんげんさいせいきゅう)と言います。

 

この遺留分減殺請求は、AさんからCさんに対する意思表示によって行うことになります。この意思表示は口頭で行うこともできないわけではありませんが、後の紛争を避けるために、書面で通知しておく必要があります。

 

そして、後で説明するとおり、遺留分減殺請求権には期限がありますので、配達証明付きの内容証明郵便によって行うべきです。

 

Aさんは、この通知をした後、Cさんとの間で、Aさんの遺留分について協議をすることになります。

 

(3) 調停

 

AさんとCさんが協議をしても解決しない場合には、Aさんとしては、家庭裁判所に調停を申し立て、裁判所で話し合いをすることになります。

 

なお、この申し立ては、相手方となるCさんの住所を管轄する家庭裁判所にすることになります。

 

(4) 訴訟

 

調停における話し合いでも解決しない場合には、AさんはCさんに対して遺留分減殺請求訴訟を提起して、裁判での解決を目指すことになります。

 

この場合には、被相続人であるXさんの最後の住所を管轄する地方裁判所または簡易裁判所に訴えを提起します。

 

3 遺留分減殺請求権の時効

 

遺留分減殺請求権には時効が存在します。

 

遺留分権利者のAさんが、相続が開始したこと(つまりXさんが亡くなったこと)を知った時または減殺すべき贈与または遺贈があることを知った時(つまりXさんがCさんに全財産を相続させるとの遺言を遺していることを知った時)から1年で、Aさんの遺留分減殺請求権は時効にかかってしまいます。

 

1年という大変短い期間で時効にかかってしまいますので、Aさんとしては十分注意する必要があり、必ず1年以内にCさんに対して遺留分減殺請求の通知を出さなければなりません。

 

なお、相続開始から10年が経つと、AさんがXさんの死亡や遺言の存在などを知らなくても、Aさんの遺留分減殺請求権は消滅してしまいます。

 

遺留分減殺請求の期限(時効)は「1年もしくは10年」と覚えておきましょう

 

4 遺留分と遺言

 

このように、遺言の内容が相続人の遺留分を侵害する内容になっていると、せっかく遺言を遺したのに、被相続人の死後に遺留分を巡って親族間の争いが起こってしまう可能性があります。

 

遺言をする人は、自分の死後に親族間で相続の争いが起こらないことを願って遺言をすることが多いと思いますが、Xさんのような遺言を遺すと、遺言のためにかえって争いが起こるということになりかねません。

 

したがって、遺言をしようとする場合には、この遺留分について十分配慮して行う必要があります。事前に弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

 

5 まとめ

 

遺留分については、その内容が複雑な点もあり、また場合によっては訴訟の必要がありますから、弁護士に相談しながら手続を進めて行くことが望ましいでしょう。特に、権利を行使できる期限が1年と短いため、早めに弁護士相談することをお勧めします。

 

その他にも相続に関する「期限」は様々なものがあります。例えば、相続放棄については、原則3ヶ月というきわめて短い期限が設定されています。合わせて確認をしておくとよいでしょう。

参考:相続放棄専門サイト

 

当エクレシア法律事務所では、遺留分減殺請求に関わる内容だけでなく、遺産相続・遺産分割に関わる様々な案件の実績がある弁護士事務所です。相続に強い弁護士が複数人在籍しています。埼玉県越谷市の方だけでなく、その周辺のエリア(春日部市、草加、川口、吉川、三郷、八潮、東京都足立区、千葉県流山市、松戸市など)の方ももちろんご相談を受け付けております。

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