各相続人の遺留分額
各相続人の遺留分額は、次の算定式によって計算します。
【各相続人の遺留分額=遺留分算定の基礎財産の額×各相続人の遺留分-特別受益額】
※「各相続人の遺留分」については遺留分の割合を参照
※「特別受益額」については特別受益を参照
そこで、まずはこの、遺留分算定の基礎財産の算出方法を説明します。
遺留分算定の基礎財産の額
遺留分算定の基礎財産の額は、次の算定式によって計算します。
【遺留分算定の基礎財産= ①相続開始時の財産+②生前贈与した財産-③債務】
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①相続開始時の財産
相続開始時の財産とは、被相続人が相続開始時に有していた財産です。遺贈された財産も含まれますが、祭祀財産は除かれます。
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②生前に贈与した財産
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相続人以外に生前贈与した財産
原則として相続開始前1年以内に贈与されたものに限って算入します。ただし、相続開始の1年以上前にした贈与であっても、贈与当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与したものは、遺留分算定の基礎となる財産に含まれます。
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相続人に生前贈与した財産
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特別受益となる生前贈与
原則として、何年前に贈与されたものであっても、遺留分権利者に損害を加えることを知らない場合であっても、遺留分算定の基礎となる財産に含まれます。
※「特別受益」については特別受益を参照 -
特別受益とならない生前贈与
原則として相続開始前1年以内に贈与されたものに限って算入します。ただし、相続開始の1年以上前にした贈与であっても、贈与当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与したものは、遺留分算定の基礎となる財産に含まれます。
なお,上記のほかに,贈与ではなく売買などの有償処分であっても,不相当な対価でなされた有償処分で,当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知っていた場合には,贈与とみなされ,その財産から対価を差し引いた金額が贈与として基礎財産に加算されることになります。
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③債務の額
借金などの金銭債務が含まれます。
遺留分侵害額
各相続人の遺留分が具体的にいくら侵害額されているかは、次の算式で算出します。
【遺留分侵害額=各相続人の遺留分額-相続によって得た額+債務の負担額】
各相続人の遺留分額から、各遺留分権者が相続によって得た財産が在る場合はその額を控除し、同人が負担すべき債務があるときは、その額を加算して算定します。