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代襲相続の範囲はどこまで?相続人の範囲を考えよう

相続・代襲相続の範囲のイメージ

相続をする場合、相続人の存否によっては「代襲相続」(だいしゅうそうぞく)をする必要が生まれます。しかし、法律に詳しくない人はどこまでが代襲相続の範囲か分からないケースも多いようです。そこで、ここでは代襲相続の範囲を明確にしていきます。

 

 

■代襲相続とは?

代襲相続とは本来の相続人が亡くなっている場合に、その「相続人に代わってその子どもが相続できる制度」のことを言います。これは民法887条に規定されています。ただし、相続できる人は直系卑属に限られており、該当しない場合は相続できません。

 

このように、本来相続できる相続人の子どもが相続できる制度を「代襲相続」と呼びます。

 

■相続人の範囲と優先順位

代襲相続を理解するには、まず本来の相続人の範囲を知る必要があります。相続人の範囲は被相続人との関係により、第3順位相続人まで広がります。こちらは民法889条に規定されています。そこでこの理解を進めていきましょう。

 

▲常に相続人である「配偶者」

被相続人の配偶者常に相続人として扱われます。ただし、配偶者が被相続人よりも先に亡くなっている場合は相続権がありません。

 

仮に配偶者以外に相続人がいない場合は、配偶者が全ての相続財産を相続できます。なお、配偶者以外の相続人がいる場合は、その人と同じ順位で相続人になります。

 

ただし、離婚をすると相続人ではなくなります。ですから、離婚した後に、元夫(妻)の遺産を相続することはできません。

 

▲第1順位相続人である「子供」

相続の優先順位で最も優先されるのが、被相続人と配偶者の間に生まれた「子供」です。相続人が子供の場合、相続財産の2分の1を受け取ります。子供が2人いた場合は、4分の1ずつを分け合うことになります。

 

▲第2順位相続人である「直系尊属」

もし被相続人と配偶者の間に生まれた「子供」がいない場合は、被相続人の「直系尊属」が相続権を有します。直系尊属とは、父母や祖父母などで、被相続人より前の直系親族のことを指します。例えば父母が存命の場合、父母が被相続人の相続財産の3分の1(6分の1ずつ)を受け取ります。

なお、父母に相続権があっても、片親が既に亡くなっている場合には、存命の片親が相続権を有します。このとき、祖父母が存命であっても、相続はできません。これは「親等の異なる者の間では、その近い者を先にする」という規定に基づく制度です。

もし、父母両名がすでに亡くなっている場合で、祖父母が生存している場合であれば、直系尊属である祖父母が相続することが可能です。

 

▲第3順位相続人である「兄弟姉妹」

被相続人と配偶者の間に生まれた「子供」、被相続人の「父母」がいない場合は、被相続人の「兄弟姉妹」が相続権を有します。この場合は、兄弟姉妹が相続財産の4分の1を受け取ることができます。

 

これが相続人の範囲と優先順位の基本です。したがって、配偶者は常に相続人であり、優先順位に従って他の相続人が決まるのです。

 

■代襲相続の範囲と優先順位

本来の相続人の範囲を理解したら、その上で代襲相続について説明をしていきます。代襲相続とはすでに説明をしている通りで、「本来の相続人に代わって、その子供が相続できる制度」のことです。したがって、代襲相続の範囲は次の通りになります。

 

▲第1順位相続人である子供の「子供」

まず、被相続人と相続人の間に生まれた子供の「子供」が代襲相続の範囲に含まれます。つまり、被相続人からしたら「孫」にあたる存在です。

 

被相続人が亡くなる前に、子供がなくなっている場合は、その子供、すなわち孫に相続権が与えられます。この場合、相続できる割合は「第1順位相続人である子供」と同じく2分の1です。

 

なお、代襲相続できる子供も既に亡くなっており、その子供がいる場合は「再代襲相続」と呼ばれる制度で相続されます。

 

▲第3順位相続人である兄弟姉妹の「子供」

兄弟姉妹に相続権がある場合、その「子供」も代襲相続の範囲に含まれます。つまり、被相続人の「甥・姪」にあたる人たちです。

 

民法889条で代襲相続が認められているため、甥や姪が相続人となりうる可能性があります。ただし、条件は被相続人の子供、孫、ひ孫・・・がいなく、父母、祖父母・・・も亡くなっており、かつ兄弟姉妹が亡くなっている場合に限ります。

 

なお、第3順位相続人に再代襲相続は認められていません。つまり、この甥や姪の子供には相続権が与えられません。したがって、ここまで誰も相続人がいなければ、配偶者が100%の財産を受け取ることができるようになります。

 

■相続できる直系卑属とは?

代襲相続を適用できるのは「直系卑属」に限られています。この直系卑属を理解してないがゆえに、トラブルに発展するケースも見られます。特に問題になりやすいのが「養子縁組」です。そこで、こうした養子縁組の扱いについて解説していきます。

 

▲養子縁組として認められた子供の「子供」

養子縁組として認められた子供の「子供」は、その生まれたタイミングによって相続権を有するかが変わります。まず養子縁組前に、その子供が生まれている場合は代襲相続ができません。これは直系卑属として認められないからです。

一方、養子縁組後に、その子供が生まれている場合は、代襲相続が可能です。こちらは法律上、直系卑属として認められるからです。そのため、養子縁組として認められた子供の「子供」に相続権があるかは、その子供が生まれたタイミングによると覚えておくといいでしょう。

 

■まとめ:代襲相続と遺産分割トラブル~弁護士に相談しましょう~

代襲相続の範囲について具体的に見てきましたがいかがだったでしょうか。代襲相続のポイントは2つあり、第1に「本来の相続人に相続権が与えられること」、第2に「本来の相続人と直系卑属の関係にあること」です。このポイント2つを押さえれば、代襲相続の範囲を明らかにしやすくなるでしょう。

 

しかし、そういってもここで「遺言書」が存在すると、ケースが変わってくることがあります。

「全財産を愛人に遺贈する」といった遺言書が発見されたり、「息子には相続させない」といった遺言書が見つかったりするケースもあります。そうなると、故人の意思を尊重するかどうかや、その遺言書の信頼性に疑問を感じる相続人の間でトラブルが発生しやすくなります。更に、相続人の間で意見がまとまれば、法定相続分よりも遺産分割協議の結果が優先されるため、一筋縄ではいきません。

「争族」ともいわれるほど、遺産相続はトラブルを起しやすいものなのです。

 

遺産相続、遺言、法定相続人の間の遺産分割協議などでもめ、トラブルに遭わないために、またトラブルになってしまった場合に、力になるのが弁護士です。弁護士というと敷居が高いと感じる方もいらっしゃいますが、当エクレシア法律事務所の相続に強い弁護士にお任せください。埼玉県越谷市地域にて、遺産相続についての実績も多数ございます(参照:相談実績)。

 

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