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相続人が子供(未成年・胎児)のときの相続と遺産分割協議

未成年者・胎児など子供への相続のイメージ

法定相続人未成年者である子どものとき、子ども自身が遺産分割協議に参加することになるのでしょうか。子どもが大人と一緒に遺産分割の協議をし、自分に不利にならないように判断をすることは実際には難しいことですから、子どもを保護する何らかの方法が必要でしょうが、それはどのようなものなのでしょうか。
また、まだ出生していない胎児には相続の権利はあるのでしょうか。もしあるとすれば,生まれていない胎児がどのようにして遺産分割協議に参加するのでしょうか。

 

このような相続人が未成年者や胎児のときの相続については、相続人が成人の場合と異なった扱いがされますので、以下に説明することにします。

 

1 相続人が未成年者のとき

(1)親権者が相続人とならない場合

未成年者が法律行為を行う場合、通常は親権者である父母が法定代理人として未成年者に代わって法律行為をすることになります。未成年者が相続人となり、他の相続人との間で遺産分割協議をする場合も、原則としては親権者が未成年者を代理して遺産分割協議を行います。

 

例えば、両親の離婚時に母親が未成年の子どもの親権者となり、その後子どもが成人する前に父親が亡くなって相続が開始した場合、未成年の子どもは父親の法定相続人となります(父親と離婚した母親は法定相続人とはなりません)。この場合には、親権者である母親が子どもの法定代理人として遺産分割協議を行うことになります。

 

(2)親権者も相続人である場合

では、例えば両親が結婚している間に父親が亡くなり、妻と子どもが遺された場合にはどうでしょうか。この場合、子どもの親権者は法律上当然に母親(妻)になります。そして、父親の法定相続人は、配偶者である母親と子どもの2人ということになります。では、この場合に母親が子どもの親権者として遺産分割協議を行うことができるのでしょうか。

 

このケースでは、母親は、自分自身が相続人の立場を有すると同時に、子どもの親権者として相続人である子どもを代理する立場にも立つことになります。そもそも、遺産分割協議は、被相続人(この場合は父親)の遺産を誰がどのように引き継ぐかを決めるものですから、相続人同士の利害が対立する手続です。自身も相続人である母親が、子どもの代理人として遺産分割協議を行うことを認めると、子どもに不利な内容の遺産分割が行われるおそれがあります。

 

したがって、このケースのように親権者である母親自身も相続人である場合には、子どもの利益を守るため、母親は子どもの親権者として遺産分割協議を行うことはできません利益相反行為、民法826条)。

 

かといって、未成年者自身が遺産分割協議を行うこともできませんから、この場合には、家庭裁判所に特別代理人の選任を請求し、選任された特別代理人が子どもの代理人として遺産分割協議を行うことになります。

 

では、誰がこの特別代理人になるのでしょうか。

 

法律上は、特別代理人に資格などは必要ありません。協議の対象である相続に利害関係がなければ(つまり法定相続人でなければ)誰でも構いません。家庭裁判所が用意している特別代理人選任申立書の書式には、特別代理人の候補者を書く欄があり、あらかじめ相談した上で祖父母、叔父、叔母などの親族に依頼して候補者としておくことが多いですが、依頼できる親族がいない場合には弁護士などの専門家に依頼しても構いません。いずれにしても、真摯に子どもの利益を考えてくれる人に依頼することがよいでしょう。

 

なお、特別代理人を選任することなく行った遺産分割協議は、無効となってしまいますので注意して下さい。

 

また、未成年の子どもが複数いる場合には、人数分の特別代理人の選任が必要になります。

 

2 相続人が胎児のとき

(1)胎児の相続権

例えば、妻が妊娠中に夫が交通事故で亡くなり、母親の胎内に胎児が存在する状態で父親の相続が開始した場合、胎児は父親の遺産を相続することはできないのでしょうか。

 

民法上の原則は、人の権利能力(権利義務の主体となる能力)は出生に始まるとされていますので(民法3条1項)、相続の権利についても出生によって得られるようにも思われます。しかし、この原則を貫くと、父親が亡くなった時に生まれていた子どもと胎児だった子どもとの間に不公平が生じます。そのため民法は例外的に、胎児は相続についてはすでに生まれたものとみなしています(民法886条1項)。

 

したがって、上のケースでは胎児は父親の遺産を相続できることになります。

 

ただし、胎児が生まれなかった場合(死産の場合)にはこの例外的な扱いは行われず、相続しないものとされます(民法886条2項)。

 

このように、民法は胎児の相続について、出生したか否かで取り扱いを異にしています。胎児が相続することを前提に協議が成立した後に死産となってしまった場合にも、胎児が相続しないことを前提に協議が成立した後に胎児が出生した場合にも、協議をやり直さなければなりませんので、相続開始時に胎児が存在する場合には、胎児が無事に出生するのを待って遺産分割協議を行うのが無難でしょう。

 

(2)胎児がいる場合の遺産分割協議の方法

胎児がいる状態で相続が開始した場合には、胎児の出生を待って遺産分割協議を開始した方がよいことは述べたとおりですが、どうしても急がなければならない事情がある場合にはどのような方法を取ったらよいでしょうか。

 

胎児を相続人として扱って遺産分割をする場合にも、1で説明したのと同じように、母親が胎児を代理することは利益相反行為に当たります。したがって、特別代理人を選任して、特別代理人が胎児を代理して協議を行う必要があります

 

○まとめ

相続人が未成年であることや、胎児であるケースはよくあることですが、このような法律が定められていることを知っている方はそう多くはないようです。そのために、遺産分割協議を子供抜きに行ってしまったり、あるいはあとでやり直すことになったりするケースもあり、トラブルのもととなります。ですから、こういう場合は弁護士にも相談をしておくと良いでしょう。

 

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