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■序:相続発生後に必要な戸籍情報の収集
遺産分割などの相続関係の手続を行うときや相続放棄の手続を取ろうとするときなどには、多数の戸籍謄本を取り揃える必要があります。自分の戸籍謄本だけならさほどの手間はかかりませんが、他の相続人の戸籍謄本や、被相続人の古い戸籍までさかのぼった戸籍謄本を揃えるとなると、大変な手間がかかる上、どこまでのものを揃えればいいのかもよくわからないというようなことになりがちです。
そこで、専門家である弁護士にこの作業を依頼することが考えられますが、その場合に弁護士に依頼することのメリット、デメリットについて説明することにしましょう。
■1 弁護士に依頼することのメリット
(1) 必要な書類と作業
始めに、遺産分割協議書の作成、遺産分割調停の申立て、相続放棄などの相続に関係する手続を取ろうとする際に必要となる書類にはどのようなものがあるのかについて見てみましょう。
まず、それぞれの手続のいわば本体になる書類を作成する必要があります。遺産分割協議書作成であれば遺産分割協議書、遺産分割調停申立てであれば遺産分割調停申立書、相続放棄であれば相続放棄の申述書などです。
次に、これらの書類に加えて、戸籍謄本、戸籍の附票、住民票などが必要になります。
さらに、遺産分割協議書の作成の場合には印鑑証明書も必要ですし、遺産分割調停申立てであれば相続関係図(被相続人と相続人の関係を一覧表にした家系図のようなもの)の作成も必要です。
そして、これらの必要書類のうちで、準備が特に面倒なのが戸籍謄本です。なぜなら、相続の際に必要になる戸籍謄本は、相続人全員のものに加えて、被相続人(亡くなった人)の出生時から死亡までの間の戸籍すべてを網羅したものが必要になるからです。また、相続人のうちで亡くなった人がいる場合には、その人についても出生時から死亡時までの間の戸籍謄本が必要になります。
この被相続人などの出生時から死亡時までの戸籍謄本を揃えるには、通常は被相続人の除籍謄本(本人の死亡により閉鎖した戸籍の謄本)から始めて、戸籍に異動がある都度遡ってその謄本を取り寄せて行くことになります。
特に、本籍地が変わった場合には、その本籍地の役所から謄本を取り寄せることになり、大変な手間がかかります。
もちろん、実際にその役所に赴かなくても郵送で取り寄せることは可能ですが、取り寄せた謄本を確認したら再度本籍地が変わっていたという場合には、それを追って別の役所から謄本を取り寄せることになります。ケースによっては、日本各地の役所から戸籍謄本を取り寄せるということにもなるのです。
さらにこの作業を難しくするのが手書きの戸籍の存在です。実は日本の戸籍はこれまで古いものから「明治19年式戸籍」、「明治31年式戸籍」、「大正4年式戸籍」、「昭和23年式戸籍」、「現行戸籍」の5種類のもので作成されてきています。最近の戸籍は活字で印字されたものになっていますが、大正4年式以前の古いものはそれぞれの役所の担当者の手書きで記載されています。
実はこの手書きの戸籍謄本がくせ者で、何と書いてあるのか正確に判別できないものが意外に多いのです。毛筆の達筆でしかも旧字体で戸籍の狭い欄内に書かれてしまうと、後世の私たちにはどうにも判読できない字が出てきてしまいます。そのような場合には、送ってもらった役所に問い合わせるなどして何とか判読するのですが、それでも正確な字が分からないこともあります。
このように、相続に関係する手続に必要な書類を取り揃えることは、大変手間のかかることなのです。
(2) 弁護士に依頼した場合のメリット
では、戸籍謄本などを取り揃える作業を弁護士に依頼した場合のメリットにはどのようなことがあるのでしょうか。
まず、先ほど説明した面倒な作業を自分でやらなくてよくなりますので、それだけでも大変なメリットになります。
また、専門家である弁護士に任せておけば、正確かつ迅速に書類を揃えることができます。慣れない人が戸籍を取り寄せようとすると、間違ったものを取り寄せてしまって取り直す必要が生じ、二度手間になってしまうことがありますが、専門家であればこのようなこともありません。
さらに、そもそも法定相続人が誰かということの正確な判断も弁護士にしてもらうことができます。専門家でなければ、自信を持ってこれを判断することはできませんから、このメリットも意外に大きいと言えます。
このように、戸籍謄本などの取り揃えを弁護士に依頼することには多くのメリットがあると言えます。
■2 弁護士に依頼することのデメリット
それでは、戸籍謄本などを取り揃えることを弁護士に依頼した場合のデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
デメリットはただ一つ、ある程度の費用がかかるということです。
ただ、その分自分が手間と時間をかけて作業をすることを考えれば、少々の費用がかかることはやむを得ません。
また、遺産分割調停や相続放棄などの手続自体をそのまま弁護士に委任することもでき、その場合には書類の取り揃えの費用は、本体である調停や相続放棄の着手金に含まれることになりますので、むしろ割安で作業をしてもらえることになるでしょう。また、手続全体を弁護士に任せれば、安心して手続を進めていくことができます。
■3 まとめ
以上に見たとおり、戸籍謄本などを取り揃えることを弁護士に依頼することには、デメリットよりもメリットが勝っていると言えるのではないでしょうか。
上記のように、相続が発生すると様々な手続きが発生しますが、その手続きのために、相続人全員分の戸籍や故人である被相続人の戸籍を、時間を割いて集めるというのは非現実的なことが多々あります。特に相続人に兄弟が多いケースや亡くなった方がいるケース、そして、高齢の方の戸籍を収集する必要がある場合などでは、一般の方が行うには困難を極めることがあります。
失敗をなくすためにも、弁護士への依頼をするのが望ましいと言えそうです。
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