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事業承継対策~中小企業の事業用不動産と遺産分割のポイント

事業承継対策(中小企業)遺産分割のイメージ

■事業用不動産を含む相続の事例(ケーススタディ)

Aさんは40年前に自ら株式会社を設立して製造業を営んできました。努力の甲斐あって経営は順調に推移し、自前の工場の敷地も個人名義で購入して安定した経営を進めてきました。Aさんは年齢が70歳に近づき、また妻が亡くなったのを機に、専務を務める長男を後継者として会社の代表権を譲ることを考えるようになりましたが、常務を務める次男と長男は会社の経営方針について考えを異にしているため意見の対立も目立ち、会社の将来を心配しています。なお、会社の株式の80%はAさんが持ち、長男と次男が10%ずつ持っています。
 
Aさんは、長男を後継者としてなるべくスムーズに事業を承継したいと考えています。

 

■1 事業承継の3つのポイント

Aさんは、会社の経営権の引き継ぎをなるべくスムーズに、争いなく進めたいと考えているようですが、株式を公開していない中小企業事業承継を行うには大切なポイントがいくつかあります。

 

(1)現状を把握しよう

まず1つは、「会社や後継者の現状を把握すること」です。

 

適任の後継者がいるか、それは親族かそうでないのかなどを絞り込んだ上でないと、適切な事業承継対策は立てられません

 

(2)早期に対策を立案しよう

2つ目は、なるべく早期に事業承継対策の立案を開始することです。

 

Aさんのように、事業承継を真剣に考え始めたときには経営者自身が高齢に達していることが現実には多くなっていますから、事業承継対策は速やかに進めて行かないと手遅れになるおそれがあります。また、対策の方法によっては、実現にある程度の期間が必要な場合もありますから(例えば相続前の財産の移転)、その意味でも早期の対応が必要です。

 

(3)円滑な事業承継を進めよう

3つ目のポイントとして、事業承継対策は可能な限り円滑に進めることです。

 

事業承継をきっかけに経営権争いが表面化してしまっては、承継後の会社経営に差し支えます。時には強引な手法が必要なケースもあるでしょうが、それは最低限にとどめ、関係者と綿密に協議を重ねながらなるべく円滑・円満に進めて行くことが承継後の会社経営に役立ちます。

 

これらのポイントを踏まえ、設例における事業承継対策について以下にまとめてみます。

 

■2 株式に関する対策

Aさんが有する株式を長男に引き継ぐことができれば、長男は会社の株式の90%を持つことになり、会社を支配して行くことができます。

 

これに対して、Aさんがなんら対策を取らずに亡くなり、法定相続分での遺産分割が行われるとすれば、長男と次男は40%ずつの株式を相続していずれも50%の株主となり、2人の意見が対立した場合に会社の経営がデッドロックに乗り上げるおそれがあります。

 

したがって、少なくともAさんとしては、後継者である長男が議決権の過半数を確保できるよう、長男に自分の保有する株式を相続させる旨の遺言を残すなどの対策をしておく必要があります

 

ただし、全株式を長男に相続させることにすると次男の遺留分を侵害するおそれがありますので、次男の遺留分を侵害しない範囲で長男に株式を相続させるのが無難でしょう。もちろん、株式以外の遺産で次男の遺留分を侵害しないよう調整することも可能です。

 

なお、関係者の株式の保有割合によっては、「経営承継円滑化法の遺留分の特例」を利用すべき場合もあります。ただ、この制度の利用には、推定相続人(Aの法定相続人となることが予定されている者。設例ではAとB。)の全員の同意が必要ですので、推定相続人間に会社を巡る争いがある場合には利用は困難です。

 

また、Aさんとしては、数年にわたり計画的に長男に株式を生前贈与したり、長男がAさんから株式を買い取ったりするなどの対策を取ることも考えられます。

 

■3 事業用不動産に関する対策

Aさんは事業用不動産(工場敷地)を個人で所有していますが、これは会社の事業にとって必要不可欠な資産です。したがって、この事業用不動産を会社が確実に事業に使用して行けるようにしておく必要があります

 

その対策としては、前項と同様、遺言や生前贈与によることも考えられますが、不動産価格の価格が高い場合には、遺留分の問題や税務上の問題が発生する可能性があります。

 

資金の用意ができるのであれば、あらかじめ会社自身がAさんから事業用不動産を買い取っておくことが望ましい方法でしょう。

 

■4 遺言を残す場合の注意点

Aさんが遺言により株式や事業用不動産を長男に相続させる場合には、既に述べたとおり次男にも十分配慮することが重要です。次男が遺言の内容に不満を持ち、Aの死後に長男と決定的に対立することになっては、せっかくの事業承継対策も水の泡になりかねません。

 

Aさんに自社株式や事業用不動産以外の流動資産(預貯金、他社株式などの金融資産など)、事業用不動産以外の不動産があるのであれば、これらを次男に相続させることで次男の遺留分を調整したり、場合によっては次男の不満の受け皿としたりすることを検討すべきでしょう。

 

■5 税務上の検討

いずれの方法を取るにしても、Aさんとしては税務上の問題点も考えておく必要があります。

 

生前贈与を行う場合には、基礎控除(年110万円)の範囲内での贈与に止めるか、基礎控除を上回る贈与をした上で納税をすべきか、また「相続時精算課税制度」の利用なども検討する必要がありますし、遺産額によっては相続税の問題も看過できません。
なお、Aさんの会社は非上場会社ですから、要件を満たせば、長男の相続する株式等について「相続税の納税猶予制度」を利用することも可能です。

 

 

■6 後継者がいない場合

設例と異なり、Aさんに後継者となる親族がいない場合には全く別の対策を考えることになります。

会社の従業員の中から後継者を選ぶ場合には、その候補者への株式の移転方法を検討する必要があります。

また、社内に後継者候補が見つからない場合には、M&A(他者への事業の譲渡)を検討する必要もあるでしょう。

 

■7 まとめ:事業承継は早期に相続に強い弁護士に相談を

会社の事業承継は、ケースバイケースの判断が必要で画一的な対策はありません。また、経営者(事業を承継させる側、承継する側の双方)の考え方によって対策も変わってきます。いわばオーダーメイドの対策をそれぞれの会社ごとに考える必要があります。

 

適切な事業承継対策を立てるには、会社法その他の法制度に関する幅広い横断的な知識が必須です。また、スタートをなるべく早く切ることが有利な対策を準備できることにつながります。したがって、事業承継を考えた場合には、早期に専門家である弁護士に相談することをお勧めします。

 

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