遺産分割とは
相続人が複数いる場合、遺産は相続人全員の共有状態になります。共有物を売却するには共有者全員の合意が必要となったり、修繕をするには共有者の持分の過半数の決定が必要となったりして、その取扱いが煩雑となります。そこで各自が相続分を自分のものにするため、共有状態にある遺産を各相続人に具体的に配分していく手続が必要となります。この配分手続きを遺産分割といいます。
遺産分割の流れ
まずは,遺言の存否を確認します(公正証書遺言以外の場合は,遺言書の封を開けてはいけません。)。
遺言書があった場合
遺言所に指示されたとおりに、分割します。
注意)公正証書遺言以外の遺言の場合は,家庭裁判所での検認手続が必要です。
遺言がなかった場合
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①相続人の範囲を確定
相続人となる者全員を確定します。相続人の一部を除外して遺産分割をしても遺産分割は無効になります。
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②相続分を確定
各相続人の相続分を民法の法定相続分から確定します。
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③遺産の範囲を確定
生命保険金が遺産に入るのか、被相続人の預金が不当に引き出されていないか、借金などの負債はどうなるのかなどの問題を解決します。
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④遺産を評価
各遺産の価格を評価します。現金や預貯金の場合は額面額そのものですが、不動産の場合、その価値はどのように評価するのかなどの問題を解決します。
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⑤特別受益者と特別受益の額を確定
被相続人から生前贈与を受けた相続人がいる場合,その利益分を遺産分割に際して調整する必要があります。
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⑥寄与相続人と寄与度を確定
相続人の中に被相続人のために特別な貢献をした者がいる場合,その貢献分を遺産分割に際して調整する必要があります。
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⑦相続開始時の具体的な相続分率を算出
以上の特別受益と寄与分を踏まえて,②の法定相続分に修正を加えます。
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⑧遺産分割における取得分額を算出
具体的相続分率を遺産分割時におけるに引き直す。
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⑨遺産分割方法を決定
現金なら⑧の取得分額自体をもらえば簡単に分割できますが,土地建物などは、ケーキのように切り分けることができませんので問題です。
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⑩遺産分割協議書の作成
以上を相続人の話し合いで行えれば、遺産分割協議書を作成します。
話し合いでまとまらない場合は、家庭裁判所の調停手続きをとることになります。