父が亡くなり、母と兄と私の3人が相続することになりました。兄は美容室を経営していますが、生前父から開業資金を出してもらいましたが、私は父から何もしてもらっていません。この場合、兄が生前父から援助してもらった分については、無視して父の遺産を分けなければいけないのでしょうか。
生前贈与を受けている分については、「特別受益の持戻し」を行ったうえで財産を分けることになります。今回の相続人の相続分は、母2分の1、兄弟それぞれ4分の1ですが、兄が生前に被相続人から開業資金を既にもらっていますので、これを無視して相続分を計算すると不公平な結果になってしまいます。そこで民法では、相続人の中に被相続人から生前に贈与を受けたりした者がいる場合には、この者については相続分の前渡しを受けたものとして取り扱うことにしています。このように特別の利益を受けた者を「特別受益者」といい、特別受益者が受けた利益を遺産にもどして相続分を計算することを、「特別受益の持戻し」といいます。