相続人の中に行方不明者がいるため、遺産分割ができません。どうすればいいですか?
遺産分割は相続人全員で行わなければなりません。一人でも欠けていれば、その遺産分割は無効になります。そうすると相続人の中に行方不明者がいた場合、その行方不明者も戸籍上相続人になりますので、その人を除外して遺産分割することはできません。
かといって、その人の生死が明らかになるまで待つとなると、いつまでたっても遺産分割ができませんので、何らかの手段が必要です。
このような場合に、遺産分割を行うには二通りの方法があります。
①不在者財産管理人を選任する方法と
②失踪宣告を得る方法です。
①不在者財産管理人を選任
共同相続人は、利害関係人として行方不明者(不在者)の財産管理人の選任を家庭裁判所に申立てることができます(民法第25条)。
選任された不在者財産管理人は、家庭裁判所の許可を得て(民法第28条)、他の共同相続人と遺産分割協議をすることになります。
②失踪宣告を得る
共同相続人は、利害関係人として行方不明者(不在者)の失踪宣言を家庭裁判所に求めることができます(民法第30条)。
行方不明者に対して家庭裁判所が失踪宣告をすることで、行方不明者は死亡したものとみなされますので、残りの相続人だけで遺産分割が可能となります。ただし、行方不明者に相続人がいる場合は、その「みなされる」時期如何で、遺産分割に加わるべき相続人の範囲が異なってきますので、注意を要します。
尚、失踪宣告は不在者の生死が「7年間」明らかでないことを要件としますので(民法第30条)、生死不明の状態が7年未満の場合は、失踪宣告の方法をとることができず、不在者財産管理人選任の方法をとるしかありません。