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非嫡出子への相続と認知していない子どもへの遺産相続方法は?

非嫡出子と認知・死後認知で相続できるイメージ

人が死亡して相続が起こった場合、その人に婚外子(隠し子など)がいるケースがあります。
この場合、法律上の配偶者や子どもとの間で遺産相続トラブルが起こることが多いです。
また、子どもが認知されていない場合には相続権はありません。そうなると、その子どもは遺産相続することは一切できないのでしょうか?相続権がないと、今住んでいる家の所有権もないので家を出て行かないといけないケースなどもありますが、認知されていない子どもとその母親を守る方法などはないのでしょうか?
今回は、婚外子がいる人が死亡してしまった場合の相続トラブルの問題について解説します。

 

■1.婚外子がいる場合のトラブル

相続が起こった場合、婚外子がいるとトラブルが起こることが多いです。

婚外子とは、法律上の配偶者との間の子どもではない子どものことです。いわゆる愛人の子ども、隠し子のことだと考えるとわかりやすいでしょう。

婚外子でも、認知されている非嫡出子であれば相続権がありますので、遺産分割に参加して遺産を受け取ることができます。この場合の相続割合は、嫡出子(結婚している妻との間の子ども)と同じになります。

昔は非嫡出子の相続分が嫡出子より少なかった時代がありましたが、これは平等権に反するものだとして法改正が行われたため、現在では同じになっています。

 

婚外子が現れると、法律上の妻や子どもとの間で相続トラブルが起こることが多いです。

お互いに、敵対意識を持っているためになかなか遺産分割の話し合いをすすめることができません。

また、愛人の子ども(隠し子)を認知していないケースでは、さらに大きな問題が起こってしまいます。

 

■2.認知されていない子どもには相続権がない

愛人の子ども(隠し子)を認知していない場合、具体的にはどのような問題が発生するのでしょうか?この場合、隠し子には遺産相続権がありません

認知をされていれば、被相続人(亡くなった人)との親子関係が法的に明らかになるので、直系卑属(子ども)として遺産相続をすることができます。しかし、認知されていない場合には、被相続人との関係が法的には全く明らかにならない状態なので、そのままでは遺産相続することができないのです。

もちろん、愛人とは結婚していないので、愛人にも相続権がありません。配偶者ではないからです。

こうなると、愛人とその子どもには一切の相続権がないことになります。

 

すると、たとえば愛人とその子どもが被相続人所有の家に住んでいる場合などには、その家を相続することができず、被相続人の法律上の妻や子どもが相続することになります。

通常、法律上の妻や子どもがそのまま愛人とその子どもを無償でその家に住まわせてあげることなどは少ないので、愛人とその子どもは追い出され、住む家を失うことになってしまいます。

家を失うだけではなく、愛人と子どもにはその他の相続権もないので、全く無一文で路頭に迷ってしまうおそれもあります。

■3.認知されていない子どもに相続させる方法

認知していない隠し子がいる場合に、愛人や隠し子に相続させる方法はないのでしょうか?以下で、具体的に見てみましょう。

3-1.特別縁故者にはなれないのか?

愛人と子どもがいる場合、被相続人との関係が特別に密なものになっているはずです。そこで、愛人と隠し子は、「特別縁故者」という立場で相続出来ないのかと考えることもあるでしょう。

しかし、特別縁故者による相続が認められるのは、その他の法定相続人がいないケースに限られます

法律上の妻や子どもがいる場合には、その人たちが法定相続人になるので、特別縁故者への相続は認められません。

よって、この方法で愛人と隠し子が相続することはできません。

3-2.遺言書を書く

最も有効な方法は、死亡前に遺言書を書いておく方法です。

遺言書とは、自分の死亡後の遺産相続方法を定めて、どの相続人にどの相続財産を相続させるかなどの指定ができる文書のことです。

遺言書を利用すると、法定相続人以外の人にも遺産を相続することができます。相続分のない愛人やその子どもにも遺産を渡せます。

遺言書を利用すると、遺贈を受ける者の相続分も、法定相続割合にかかわらず自由に定めることが可能になります。

たとえば、愛人やその子どもに遺産のすべてを相続させる内容の遺言書も有効になります。

ただ、遺言書は厳格な様式が要求される文書です。間違った書き方をするとすぐに無効になってしまいますし、死後になってその遺言書が本物かどうか、争われることも多いです。

 

そこで、遺言書を作成しておく場合には、公正証書遺言の形にしておく方法が安心でおすすめです。

公正証書遺言とは、遺言を公正証書の形にしておく方法です。公正証書遺言を作成したい場合には、公証役場に行って手続きをすれば作ってもらうことができます。その際、弁護士にまず遺言書を見てもらい、自分の遺志が正しく表現できているかどうか、確認を依頼するのも良いでしょう。

3-3.遺留分に注意

遺言を残す場合には、法定相続人の遺留分に注意することが必要です。遺留分とは、法定相続人に認められた最低限の相続分のことです。

遺言書などによって法定相続人に財産を残さなかったとしても、法定相続人は最低限の遺留分の請求権だけは持っていることになるのです。

遺留分の割合は、本来の法定相続分の2分の1になります

たとえば先の例で、愛人の子どもにすべての遺産を相続させるという内容の遺言を残したとします。すると、法律上の妻や嫡出子が愛人の子どもに対して「遺留分減殺請求」という請求をする可能性があります。

遺留分減殺請求とは、遺留分を請求するという意思表示です。

これを受けると、愛人の子どもは法律上の妻や嫡出子に対して遺留分に相当する遺産を渡さなければなりません。

そうなると、実際にどの遺産をどれだけ渡すかということが問題になり、相続トラブルが発生します。

遺留分の分け方について話し合いがうまくできなければ、家庭裁判所の調停で解決しなければなりませんし、それでも解決できなければ訴訟になってしまいます。

 

このように、法定相続人の遺留分を無視して遺言書を書くと、かえって相続トラブルを引き起こしてしまうリスクがあります

遺言書を作成する場合には、法定相続人に対して最低限遺留分に相当するくらいの遺産を相続する内容にしておくと、トラブルを避けやすくなります。このあたりも弁護士が詳しい内容ですので、予め相談すると良いでしょう。

3-4.認知をしておく

愛人や愛人の子どもに遺産を相続したい場合には、子どもを認知しておく方法が効果的です。

先に述べたように、非嫡出子であっても認知さえ受けていれば相続権があります。

たとえば、被相続人が所有する家に住んでいる場合にも、子どもが認知されていればその家を相続できる可能性があります。

子どもを認知している場合には、被相続人の死後に、子ども(非嫡出子)と法律上の妻、子ども(嫡出子)との間で遺産分割協議をする必要があります。

3-5.死後認知の訴えができる

被相続人が突然亡くなった場合などには、認知が間に合わなかったケースがあります。このような場合、遺言書も作成出来ていないケースが多いです。

すると、愛人とその子どもは一切相続することが出来ないのでしょうか?

実は、その場合でも愛人と子どもが相続できる可能性があります。

具体的には、「死後認知の訴え」という請求を行います。

父親が認知せずに亡くなった場合、子どもは認知の訴えを起こすことができます

この場合、訴訟手続きを利用しますが、父親は死亡しているため、相手は検察官になります。

 

死後認知の訴えの場合、どのような方法で親子関係を確認するのかという問題があります。

通常、認知の訴えで親子関係を確かめるためには、DNA鑑定を行います。

ところが、父親が死亡している場合には、父親の方のDNA採取ができず、DNA鑑定ができないとも思えます。

そこで、このような場合には父親の近親者のDNAを用います

近親者のDNAを用いると、父親本人のものを用いた場合より精度は落ちますが、90%以上などの高い精度で親子関係を確かめることができるので、有用です。

 

このように、愛人とその子どもがいて、被相続人が認知せずに死亡してしまった場合には、死後認知の訴えを利用して認知を受けると、相続権を得ることができます。

■まとめ:認知を受けているかどうかがポイント。トラブル回避は弁護士と相談を

今回は、婚外子がいる場合の相続トラブルについて解説しました。婚外子がいると、法律上の妻や子どもとの間で相続トラブルが起こりやすいです。

婚外子が認知を受けていない場合には、基本的に婚外子には相続権がありません。この場合には、遺言書を残しておくと効果的に婚外子に遺産を相続することができます。

被相続人が遺言書も残さず認知もしないで亡くなったケースでは、子どもは死後認知の訴えを起こして認知を受けることができます

今回の記事を参考にして、相続トラブルを避けてスムーズに相続手続きをしましょう。

そのためには弁護士に遺産相続を相談することが大切になります。

 

埼玉越谷のエクレシア法律事務所:遺産相続に強い弁護士事務所

当法律事務所は埼玉県越谷市にあり、多数の遺産相続トラブルの解決のお手伝いをして参りました。地元越谷地区で約20年間、遺産相続を含む様々なトラブル事案の解決・サポートをしております。

遺産相続は多くの場合でトラブルが発生します。婚外子への相続も含め、数多くの相談これまで引き受けて参りました。

 

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