交通事故が大事故に発展すれば、命を落とすケースも珍しくはありません。もし死亡事故になった場合には、遺族は加害者(保険会社)に対してどのような請求をすることができるのでしょうか。
ここでは遺族に認められた2つの請求権について詳しく見ていきます。また請求権には時効が設けられているため、この期限についても確認していきましょう。
目次
■請求権を認められた人、認められない人
死亡事故に発展した場合、被害者本人は亡くなっているため請求権を持っていません。そこで誰が請求権を認められており、誰が認められていないのかについて見ていきます。
相続人には請求権が「認められていてる」
請求権を認められている人として、まず「相続人」がいます。これは相続人が被害者(被相続人)に発生した「損害賠償請求権」や「慰謝料請求権」を相続したものとして捉えられるからです。
より詳しく説明をすると、たとえ死亡事故で被害者が即死しても、いったんは被害者に請求権が発生します。なぜなら、事故発生と死亡までの間にはタイムラグが発生しているからです。そのため、いったんは被害者に請求権が発生します。
ただし、被害者が死亡してしまうと、その権利は「相続財産」として残されます。したがって、相続人が被害者の相続財産を相続すれば、請求権を行使することが可能になるのです。つまり、相続人には請求権が認められています。
なお、相続人が請求権を相続する場合には、いったん代表者がまとめて加害者に請求権を行使します。その後、賠償金を相続人で分け合うのが一般的な方法と言えます。
近親者には請求権が「認められている」
続いて、請求権を認められている人が「近親者」です。ここでいう近親者は、民法上では「父母」「配偶者」「子」と規定されています。またこれらに匹敵するほどの親密な関係にある人にも、請求権が認められるケースがあるようです。
そして近親者には請求権のうち、「慰謝料請求権」だけが認められています。これは被害者を失うことにより、当然に精神的苦痛を負うことになるからです。そのため、近親者に固有の慰謝料請求権が発生します。
なお、近親者には「損害賠償請求権」が認められていません。これは近親者自身が損傷をしたわけではないからです。したがって、あくまで近親者には「慰謝料請求権」のみが認められていると覚えておきましょう。
それ以外の人には請求権が「認められていない」
基本的に加害者への請求権が認められているのは、相続人と近親者に限られています。したがって、「それ以外の人」には原則として請求権が認められていません。
ただし、相続人や近親者に当てはまらない場合でも、何らかの被害を負った場合には損害賠償請求権が認められるケースもあるようです。けれども、一般的に請求権が認められているのは「相続人」と「近親者」に限られます。
■相続人と近親者に認められた「請求権」について
相続人と近親者には加害者に対しての請求権が認められています。この請求権は「損害賠償請求権」と「慰謝料請求権」の2つがあります。それぞれについて見ていきましょう。
損害賠償請求権とは?
相続人が被害者の「損害賠償請求権」を相続することで、相続人は権利を行使できるようになります。
損害賠償請求権とは交通事故によって被った被害(損傷)に対して、加害者(保険会社)へ埋め合わせを請求することができる権利のことを言います。簡単に説明をすると、交通事故によって働けなくなった分(逸失利益)のお金を、加害者から受け取るということです。
なお、損害賠償請求権は被害者に発生しているため、被害者の死亡時に権利が消滅するとも考えられます。けれども、現在の判例によっては「相続肯定説」が支持されており、損害賠償請求権は相続できるとされる傾向があります。
慰謝料請求権とは?
死亡事故における慰謝料請求権は2つに分類することが可能です。それが「被害者自身の慰謝料請求権」と「近親者固有の慰謝料請求権」です。
まず「被害者自身の慰謝料請求権」です。相続人が被害者に発生した「慰謝料請求権」を相続できることについては説明済みです。しかし、死亡事故によって被害者がどの程度の精神的苦痛を負ったかは測りかねる課題があります。そこで死亡事故による慰謝料金額は弁護士基準で「2800万円」程度と定められています(被害者が一家の支柱である場合)。
また、慰謝料請求権には「近親者固有の慰謝料請求権」もあります。こちらは近親者に発生する精神的苦痛に対しての慰謝料請求権です。自賠責保険基準では請求権者が1名の場合には550万円、2名なら650万円、3名以上なら750万円請求できるとしています。
このように相続人と近親者それぞれに慰謝料請求権が認められています。
■請求権の時効は「3年間」
損害賠償請求権や慰謝料請求権はいつまでも行使できる訳ではありません。3年間の時効が定められているので、この期間内に行使する必要があります。もし3年以内に請求権を行使しなければ、権利は消滅するので注意しましょう。
この請求権の時効は「相続人が損害および被害者を知ったときを起算」としています。なお、死亡事故の場合は一般的に「死亡日」が起算日に当てはまります。したがって、死亡日から3年以内に損害賠償請求権と慰謝料請求権を行使するようにしてください。
■死亡事故の請求権なら弁護士に相談しよう!
死亡事故の損害賠償請求や慰謝料請求を検討している場合には、「弁護士」に相談・依頼するのが一番です。なぜなら、弁護士であれば交通事故に関する専門的な法律を駆使して、正しく被害者の権利を請求することができるからです。
また、死亡事故の場合には相続も必要になります。この場合には弁護士に相談を進めておけば、相続問題を起こさずに手続きを進められるでしょう。そのため、示談交渉などをスムーズに進め、正しく相続手続きをするために弁護士に相談・依頼すべきなのです。
■まとめ
死亡事故における「損害賠償請求権」と「慰謝料請求権」について見てきましたがいかがでしたか。これらの権利は相続財産に含まれ、相続人であっても権利を行使できます。ただし、その権利は3年以内に決まっているため、この期間内に権利の行使が必要です。なお、死亡事故の請求権については弁護士に相談するのが一番です。まずは相談をすることが、問題解決の一歩になるでしょう。
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